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ベトナムでの有機農業は?(JICA事業)

JICA(独立行政法人 国際協力機構)事業
2019年度にかごしま有機生産組合が採択された「ベトナム国 持続可能な有機農業一貫体制構築のための案件化調査」において、長らくコロナ禍で調査計画が頓挫していましたが、昨年からようやく渡航可能となり、6月18日から25日まで組合の調査団一行は、ベトナムへ行ってきました。

ベトナムの中でも農業が盛んなダクラク省バンメトート市をメインに、農林省やクムガー郡政府、越日友好協会を通じて、農薬や化学肥料をなるべく使わずに「安心・安全野菜」を栽培している農家への視察、聞き取り調査。
ベトナムの主な農産物はコーヒーや胡椒、カカオやナッツ類、果物などが有名ですが、野菜については小松菜やレタス、エンサイ、空心菜、ツルムラサキ、青梗菜、パクチーなどの香味野菜、生食できる葉物類が90%以上。果菜類、根菜類は日本の規格よりも小さめ。理由は大きいと化成肥料や農薬をたくさん使っているイメージがあるのだとか。
まだまだコールドチェーンが確立されていないベトナム国内では地産地消と言えば響きが良いですが、ハノイやホーチミンといった首都圏の販売店側が力を持ち、農家の立ち位置が弱いという現状も。
また、「有機農業」「オーガニック」という概念も法が定まってない事もあり、各々が無農薬やオーガニックを自ら提唱。認証機関はあっても未周知・広く機能していないため、アメリカやヨーロッパの有機認証を取る農家も。それは個人農家にとってはとても高額で取得しづらいという現状です。有機農業を目指す農家を取り巻く環境が、どこか有機JAS認証制度ができる前の日本を思わせます。


バンメトートエリアの土質は赤土か火山灰粘土質。雨季か乾季かの季節性で、露地栽培は難しく、外に出れないほどのスコールに肥料や種、苗が流れないよう、防虫用としてもハウス(ビニルではなく網)や、気温が高いため畑かん設備なども必須です。
そんな環境でも現地の農家の方々は、緑肥、太陽熱消毒、もみ殻燻炭や自作液肥、自家製発酵肥料を作ったり、牛やヤギ、鶏を飼い、循環型の農業をしっかり確立しています。


nikonikoyasaiという農場では、複数の連携農家で成り立っており、土質に合った落花生を栽培中。農薬や化学肥料を使わずに栽培を続けており、がんばって有機認証を取る予定と意気込んでいます。使用する水は地下水質調査をし、土質も定期的にチェックする。虫が侵入しないよう、農場の周りを壁をつくり囲い、使う種は在来種にこだわります。液肥や堆肥もほぼ自家製。
夢の農場像を描いた絵を飾り、将来は子供たちや都会の人たちが宿泊しながら自然体験ができるファームにしたいとコツコツ努力しています。

KATA FAREMという生産者団体では、独自でITシステムを開発し、入出荷情報を完全クラウド管理。販売サイトにも直結させ、生産者の顔や畑が消費者やバイヤーに見える販売に取り組んでいます。安心で安全だけでなく、高品質な集出荷機能体制つくりに何ヶ月もかかったが、その成果あってベトナム内の有名な卸先をほぼ網羅。20代の若いメンバーが規格外品を加工するプロジェクトにも一生懸命に取り組んでいます。最終日には提携農家さん達が集まり、日本から有機農業の大先輩たちが来ると、私たちを快く熱烈歓迎してくれました。農薬や化学肥料を使わない、安全な農産物を作るなかでお互いに良い情報交換ができることを期待しています。

今回の渡航では、案件化調査が目的ではありましたが、思いがけず故大和田夫妻の日本での偉業の影響をひしひしと実感した渡航にもなりました。
ダクラク省、クムガー郡人民委員会をはじめ、越日友好協会、Farmers Union Venture Co.,Ltd、Western highlands Agriculture & forestry Science Institute(西部高地農林科学研究所)、Tay Nguyen University(タイグェン大学)など、関係各所にも心強い協力を頂くことができています。
生産技術はもちろん、販売や認証制度、オーガニック概念の周知、物流などが優先支援内容と認識した調査渡航でした。


次回渡航は秋頃を予定しています。
日本とベトナムは、国交50周年を迎える節目の年。日本で培ったオーガニックの志を、ベトナムの未来につなげるよう尽力していきます。

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